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語り手は、本編後に神ノ宮に入った新米護衛官です。なので、いろんなことを知りません。
リライトのオマケ話は全三話の予定。「トウイ編」、「椎名編」、「トウイと椎名編」 です。この話で出てこない人も、これから出てくると思います。




   

   


      ***



  〇月〇日

 僕が神ノ宮の護衛官になってから、ようやく一カ月が過ぎた。
 まだたったの一カ月、といえばそうだけど、僕にとってその時間は、かなりうんざりするほど長く感じられるものだった。やっと一カ月かあ、とグッタリしながら思ってしまう。
 環境の激変、というのがなにしろ大きい。僕が生まれ育ったのはニーヴァのはずれの小さく静かな街だったので、まず、首都の街々の大きさや賑やかさにびっくりした。
 おまけにその中でも、七国の中で唯一神を戴く我が国の象徴でもある神ノ宮ときたら、どこもかしこも豪華で荘厳で神聖だった。そういうものに慣れていない僕は、あまりの眩さと煌めきに、危うく眩暈を起こしそうになったほどだ。
 隅々まで美しく整えられた建物と庭園。秩序と静謐に満たされたその場所を、白い衣服を身につけた神官や、恭しく頭を下げる侍女や、ピシッとした礼を取る護衛官と警護が堂々と歩いているのである。田舎育ちの僕なんて、その雰囲気だけで気圧されてしまう。
 どういう奇跡なのか、神ノ宮の護衛官としての採用が決まったとはいえ、そもそも僕はあまり自分には自信がないほうだ。昔から身体能力は高かったけれど、どちらかといえば性格は温和。神ノ宮入りを大喜びで祝ってくれた故郷の両親も、その点だけは心配していた。
 そしてこれは入ってから判ったことなのだが、神ノ宮の護衛官や警護というのは、表では規律と礼儀に則っていながらも、裏ではかなり雑駁で荒々しい気性の男が多かった。神官の前では畏まっていても、護衛官の詰所では、がははと大口開けながら笑って卑猥なことばかり言っていたりする。その落差たるや、おそらく神ノ宮の護衛官というだけで憧れていた女の子たちが、激しく落胆して幻滅するのは間違いない。
 そんな彼らにとって、十七歳という年齢の田舎から来た新米護衛官なんてのは、絶好のからかいの的でしかなかったらしい。さんざん絡まれ、どつかれ、からかわれ、使いっ走りをさせられて、おまけに延々と下品な話に付き合わされる。そういうのを跳ね除けるくらいの気概があればまだしもよかったのだが、ついつい従ってしまうような性格の僕は、それだけでもかなり消耗した。
 そしてもちろん神ノ宮の護衛官というのは、先輩の相手をするのが仕事ではない。特に新米にとっては、厳しい訓練のほうが主体だ。そちらはそちらで相当キツくて、最初の十日くらいは身体のあちこちが痛くて動けなかった。
 そんなわけで、肉体と精神共にヘロヘロになりながら、ようやくなんとか一カ月。
 正直言って、疲労困憊している。もっと正直に言うと、故郷が懐かしくなることもある。こんなことでちゃんとやっていけるのかと、不安も心配もあるけれど。
 ──でも、神ノ宮の護衛官になれたことを後悔するような気持ちは、一切起こらなかった。
 僕はまだ新人だから実際に護衛任務はさせてもらえないけど、他の護衛官たちは、仕事となると人が変わったように表情を引き締め、颯爽と剣を帯びて、職務に当たる。その姿は本当に格好良いと思うし、憧れたりもするからだ。
 僕もいつか、あんな風になれるように、頑張ろう。



  〇月〇日

 今日、トウイさんが、夜の自由時間に 「マオールの街へ行ってみないか」 と誘いをかけてくれた。
 最近十九歳になったというトウイさんは、僕とは二歳しか違わないのに、あの神獣の守護人の護衛官を任されているという、すごい人だ。訓練での様子を見ても、他の護衛官とは段違いに実力がずば抜けているのが判る。
 それなのに、性格は至って気さくで、他の人たちのように僕をからかったりすることもない。それどころか、僕が先輩護衛官たちに絡まれている時、ちょっと度が過ぎているなと思うと、さりげなく中に割って入って上手に場を収めてくれたりする、優しい先輩だった。
「年下の後輩が出来て、嬉しくてしょうがないんだろ、トウイ」
 なんて笑われても、
「そりゃそうですよ。カイルは、俺にとっては貴重な 『存分に威張れる相手』 ですからね。これまでみんなに散々やられた分、俺がこいつにやり返すんだから、他の人たちは手を出さないでください」
 と言い返し、それとなく牽制までしてくれる。それでも笑って許されるのは、トウイさんがそれだけみんなに可愛がられている、ということの証なのだろう。この齢で破格の出世を遂げたわけだから、普通はもっと恨まれたり妬まれたりするものだと思うけど、彼らの間にそういう空気はまったくなかった。
 そしてトウイさんはそんな台詞とは裏腹に、僕に対して威張るようなことは全然なかった。お前もいろいろ大変だなと気遣ってくれて、なんでも慣れれば平気になるもんさ、と励ましてくれることのほうが多い。
 僕が護衛官たちの中でも特にトウイさんを頼ってしまうのは、当然の成り行きというものだろう。


 トウイさんはまだ十代で、年相応なところもたくさんあるけれど、時々ふいにやたらと大人っぽく見えることもあるという、不思議な人だった。
 そして、非常にストイック。せっかくマオールに行っても、「そういう店」 には見向きもしない。酒は好きじゃないと言うし、女の子から声を掛けられるとそそくさ逃げる。
 異性には興味がないのかな。今度、いっぺん訊いてみようかな。でも、同性が好きだと告白されても、それはそれで困るなあ。
 強くて、仲間からの信頼も厚くて、神獣の守護人の護衛に就く時はものすごく張り切って時間よりも前にいそいそと詰所を出ていく仕事熱心なトウイさんは、僕の尊敬する先輩だ。
 ただ、そんなトウイさんでも、弱点はあるらしい。
 この間、僕に神ノ宮の内部のことや神官への接し方などを教えてくれていた時のことだ。
 トウイさんは、ふと気がついたように、まじまじと僕を 「見上げた」。
「……お前、背が高いな」
「はい、そうなんです。十を過ぎた頃から、むくむく伸びちゃって。背の高さでは、街の中でも一、二を争うくらいだったんです」
「……あ、そう」
「のっぽなんて、ちっともいいことなんてないですけどね。どこに隠れてもすぐ見つかっちゃうし、女の子には怯えられるし。せいぜい、剣を扱う時に腕の長さを活かせる、ってことと、高いところにあるものがすぐに取れる、ってことくらいですよ」
「……へえ、そう」
「それで、さっきの話の続きですけど……」
「うん、まず座れ」
「は?」
「その椅子に座れ。俺は立って話す」
「え、先輩を立たせて、僕が座るわけには」
「いいから」
 とにかく座れ、と強引に僕を椅子に座らせたトウイさんは、その後、横を向いて悲しげなため息を吐きだしていた。
 僕はどうやら、トウイさんのとても繊細な部分を刺激してしまったようだ。



  〇月〇日

 僕の少し先輩に当たる護衛官で、メルさん、という人がいる。
 神ノ宮に入ってからまだ一年も経っていないというのだから、僕とそんなに変わらない新人のはずなのだけど、メルさんの立場は僕とはまったく違う。
 なにしろ、もとは王ノ宮に在籍していたのを特別に守護人のお声がかりで引き抜かれた、という輝かしい経歴の持ち主なのだ。そしてトウイさんと同じく、守護人の護衛官を務めている。よほど有能なのだろう。本人も、自分でよくそう言っているし。
 僕よりも年上で (個人的なことは秘密にする主義、ということで、正確な年齢は教えてもらえなかった)、でも非常に小柄で細身だ。顔も、間近に迫って来られるとついドギマギしてしまうくらいに美形なので、きっと女性の恰好をしたら違和感ないほどよく似合うと思う。おっと、そんな失礼なことを思ったら、怒られるかな。
 外見からはあまりそうは見えないけど、メルさんも相当に強い。訓練では、負けたところを見たことがない。対戦者の懐にスッと近づいたかと思うと、耳許に顔を寄せただけで、相手が勝手にへなへなと意気消沈して、自ら敗北宣言をしてしまうのである。なんだろう、特殊な能力でも持っているんだろうか。
 僕も一度対戦をお願いしてみたけど、「あなたのことはまだ調べてませんので、次の機会に」 とやんわり断られてしまった。
「なるほど、戦う前に、相手のことをちゃんと調べるわけですね」
 と僕が感心すると、メルさんはくすくす笑った。
「そうです、そうです。いろいろとね。……まあ、どんな人間でも、他人に知られたら困ることの一つや二つはありますからねえ」
 なるほど。戦う時の動きや癖を知られたら、確かに困るもんなあ。
「この戦法が使えないのは、守護人の護衛官の三人くらいですよ」
 ロウガさんとハリスさんとトウイさんか。そうか、頭の中の情報だけではどうにもならないほど、やっぱりあの三人の腕は抜きん出ているんだな。つまり、僕ではまだまだ力不足、ということを暗に指摘されたのかもしれない。恥ずかしい話だ。
 メルさんは、神獣の守護人の護衛官とはいえ、他の三人と違って護衛任務に就くことは滅多にない。じゃあ何をしているのかと不思議だが、詰所の食堂でみんなが息を抜いている時でもあまり姿を見ることはなく、たまに 「本っ当にあの方は人遣いの荒い……」 とぶつぶつ文句を言いながら忙しそうにしていることもあるので、なんらかの仕事はしているのだろう。
 ──トウイさんやメルさんのような護衛官を従えている 「神獣の守護人」 とは、どういう存在なのかな。
 神ノ宮に来て判ったことだけど、神官っていうのは、ものすごく横柄で、威張りくさった人間が多かった。ましてや守護人となったら、どれほど居丈高に振る舞うものなのか、僕なんかには想像も出来ない。
 トウイさんもきっと苦労してるんだろうなあ、と僕はしみじみと同情した。



  〇月〇日

 先日、珍しくメルさんが食堂で寛いでいたので、少しお喋りをした。
「おや、もう入って一カ月も経つっていうのに、神獣の守護人とはまだ会っていないんですか」
 メルさんがちょっと驚いたように言うので、僕は笑って手を振った。
「そりゃそうですよ。僕みたいな護衛官の下っ端が、そうそう守護さまのお姿を拝めるはずないじゃないですか」
 入った時、同じ護衛官と警護には顔合わせや自己紹介の機会をもらえたけど、それ以上のことは何もなかった。そもそも護衛官の退任や就任なんて、神ノ宮全体から見れば取るに足らない瑣末事でしかない。わざわざそれらの顔を覚える気もないらしい神官たちにとってみれば、入ろうが出ていこうがまったく関係のない話なのだろう。
 大神官も、遠目でちらっと拝見しただけ。ましてや神獣の守護人なんて、神獣に次いで遠いところにおられる方、僕なんかが簡単にお会いできるものじゃない。
「……あの方、けっこう神ノ宮内をウロウロしてますけどね。あ、そうか、詰所の近くでせっせと訓練にばかり精を出してりゃ、そりゃ会えないか」
 ぶつぶつと呟くように言ってから、メルさんはふいに、にやりと唇の端を上げた。
「じゃあ、あなたの持つ、神獣の守護人についての情報ってのは、まだ街にいた時のままで止まってるわけですね」
「情報って……一般の民が、そもそも守護人について存じ上げてることなんて、そんなにあるわけないでしょう。今は神ノ宮にいるとはいえ、その点で僕が街の住人たちと何も変わらない、という意味ならそうです」
「いやいや。それはそれで聞くに値する、という話です。あなたの故郷は確か、首都から大分離れてましたよね?」
「はい。それはもう、田舎の小さい街なんです。イルマを育てて売ることで、住人の大部分は生計を立ててます。近くの山に、イルマが好む草地があるので」
「結構結構。それで、その街では、神獣の守護人について、どんな話が伝わってますか?」
「どんな、って……」
 僕は少し困惑して、なんとなく周囲を見回した。
 いつものように騒いでいる護衛官たちの中には、ハリスさんと同じ卓について座っているトウイさんの後ろ姿もある。
 ハリスさんはこっちを向いて少し苦笑を浮かべているけど、トウイさんは振り向かないので、どんな顔をしているのか、僕からは見えなかった。
「はあ、えーとその、それはもちろん、清らかで、優しく、美しく、心根のすぐれた、立派な方だと……」
 ぼそぼそ言うと、メルさんがぶっと噴き出した。ついでに、ハリスさんまでが下を向いて、肩を揺らした。トウイさんの後ろ姿は、なぜか微塵も動かない。
「清らかで優しく美しい、と。でもそれは、表向きの話ですよね? もうちょっと、ありのままの評判を教えていただけませんかね? 大丈夫、ここでは何を言っても、外に漏れる気遣いはありません」
「いや、でも……」
 神獣の守護人について下手なことを言うと、不敬罪に問われる可能性がある。それをもごもご口にすると、メルさんは 「大丈夫、絶対に大丈夫」 と気軽に言って手をひらひらと振った。それだけ、護衛官仲間を信用してる、ってことなのかな。だったら僕ももっと打ち解けて話さないといけないだろうか。
「……実は」
 と前置きして、僕は声を潜めながら、「神獣の守護人についてのありのままの評判」 を並べていった。


 曰く、異世界よりこちらに来てからというもの、豪華な食事や衣服に囲まれ、贅沢三昧の毎日を送っている。
 曰く、お堅い神ノ宮にいることに飽きて、無責任にも神獣を放り出し、王ノ宮へ遊びに行ってしまった。あまつさえ、そこの居心地が思いのほかよかったことに味をしめ、ずっと帰らなかった。
 曰く、王ノ宮ではカイラス王太子を誘惑して誑し込み、妃の座を狙っていたが、カイラック王の急逝によって目の覚めた王太子に、神ノ宮へと追い返された。守護人はまだその件について腹を立てており、今も折に触れ王ノ宮に不満を言い立てに行っている。
 曰く、妖獣を意のままに操る魔性の力の持ち主だ、という噂がある──


「まあ、どこまで本当なのか、定かじゃないんですけど」
 特に、妖獣を操る、っていう話はさすがにないだろうと思う。ただ、神獣の守護人が一時期神ノ宮を不在にして王ノ宮に滞在していた、というのは事実であるらしいので、これらの話もまったく根も葉もないことではない。
 そういうわけで、街の住人たちにとって、神獣の守護人の評判は、すこぶる悪い。神獣も王太子も振り回されてお気の毒に、という同情論もあったし、王ノ宮と神ノ宮は守護人に対して甘すぎる、と憤慨する向きも多かった。
「そっ……それで」
 メルさんは、僕の話を聞いて、ぶるぶると肩を震わせていた。この人もいつも守護人のワガママに付き合わされているから、その憤懣が溜まっているのだろう。ぴくぴくと引き攣るように動く唇は笑いをこらえているようにも見えるが、たぶん僕の気のせいだ。
「それで、あなたもその意見に、おおむね賛同しているんですかね?」
「そりゃあ……」
 僕は口を突きだした。神ノ宮の護衛官として、守護人を崇めなきゃいけないという建前はともかく、本当は僕だって内心、そんな守護人にはずっと前から不満でいっぱいだったのだ。
 ──だって、神獣の守護人となったからには、ちゃんと義務を果たすべきなんじゃないのか?
 いついかなる時も神獣の傍に寄り添って、神獣の精神を安らがせるのが守護人の務めだろう。それを放り出して、さっさと王ノ宮に鞍替えし、おまけに王太子に色目を使うなんて。
 国の端のほうでは貧困に喘ぐ人が多くいる。いくら異世界から来たといっても、それくらいは知っておいてもいいはずだ。なのに守護人がしているのは、それらの人々の気持ちを逆撫でするようなことばかり。
 どうしたって、いい感情なんて抱けるはずがないじゃないか。
 きっと、自分のことにしか興味のない、遊び好きで、派手好きで、高慢で、頭が空っぽの娘なのだろう。そんなのが神獣の守護人として上に立ち、僕の尊敬するトウイさんや、有能なメルさんを、顎でこき使っているなんて、面白くないに決まっている。
 というようなことをぶちぶちと続けていたら、ふと、すぐ前の卓の上に、黒い影が落ちていることに気がついた。
 目を上げると、そこに立っていたのはトウイさんだった。
 いつも気さくで、快活で、優しいトウイさん──は、僕を見て、薄っすらと微笑んでいた。
「ト、トウイ、さん?」
 僕はまごついた。
 ……その口許は、一応笑いの形をとっている。でも、目が笑ってない。ぜんぜん、笑ってない。笑ってないどころか、本気の殺気を放っている。トウイさんの背後に、黒くて物騒で禍々しいものがゆらりと立ち昇っているのを、僕は確かに見た。
 そしてトウイさんは、この就寝前の休憩中、どう考えても必要ないのに、肩に担ぐようにして、自分の剣を握っていた。

 え?

「──カイル」
「は、はい?」
「ちょっと、剣の稽古に付き合ってくれないか?」
「え? は? い、今から? でももう外は暗いし、それにあの、僕の腕じゃ、到底トウイさんの相手は務まら……」
「いいから」
 トウイさんは僕の後ろ襟首をぐいっと掴み、有無を言わせず、ずるずると詰所の外へと引きずっていった。
 なにがなんだか判らず、混乱しながら救いを求めるようにして目線を向けた先では、メルさんとハリスさんが卓に突っ伏して大笑いしていた。


 僕はそれから二日ほど寝込んだ。



      (つづく)


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