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これから、「猫の手」の最終編を更新しつつ、新しく長編を始めてみようかなあ、と思っています。連載が全然ないと、ちょっとさみしいんですよね(さみしがりや)(いけしゃあしゃあと)
では、小話と言いながら二つに分かれてしまっている困ったオマケの続きです。
[つづきはこちら] からお入りください。

   

   

      ***


「それであたし、南のチョコづくりを手伝ってあげようかと思って」
 と、あたしは藤島に向かって言った。
 ここは学校の校庭の端にあるテニスコート。現在部活動中なのだが、男子テニス部の休憩タイムを見計らい、あたしは汗を拭いている藤島を捕まえて、今日あった事の成り行きを話して聞かせた。ちなみに女子テニス部は休憩中でもなんでもないのだけれど、もともと練習と休憩の境目がほとんどないような部なので、おしゃべりくらいしていたって誰ひとり気にしない。
「…………」
 汗で前髪を額に貼りつけた藤島は、スポーツタオルを頭に乗せ、あたしの顔をちらっと見てから、
「やめたほうがいいんじゃないかな」
 と、ぼそりと言った。
「え、なんで?」
 まさかここでそんな反対を食らうとは予想もしていなかったあたしは、びっくりして問い返す。実のところ、南のチョコづくりを手伝うついでに、あたしも藤島へのチョコを作ろうかなーという下心もあったため、なんだかそれまでも拒絶されたような気がして、多少ショックだった。
「あたし、こう見えても、お菓子づくりは結構--」
「いや、そういうことじゃなく」
 ムキになって反論しかけたあたしを遮り、藤島はちょっと複雑な表情になった。
「今日さ、世良と喋ったんだけど」
「うん」
「南からのチョコを、すごく楽しみにしてるみたいなんだ」
「うん」
「だから、やめたほうがいい」
「うん?」
 意味が判らなくて、あたしは戸惑った。なんか今ひとつ、会話の流れがおかしくないですか?
「えっとだから、世良はチョコ貰うのを楽しみにしてるんでしょ? それなら少しでもちゃんとしたやつをあげたほうが、喜ぶんじゃない? 南だってそのほうが嬉しいだろうし」
「うーん」
 藤島が当惑するように言いよどむ。「……男と女の違いなのかなあ」 とぶつぶつ口の中で呟いた。
「あのさ、世良が楽しみにしてるのは、チョコっていうより」
「いうより?」
「……困る南、なんだ」
「はあ?」
 問い返すと、藤島はなぜか、深いため息をついた。
「僕が知ってる限り、今まで世良はバレンタインの手作りチョコって、ちょっと怨念が混じっていそうで怖い、って敬遠するタイプだった」
「ああ、なんとなく判る……って、じゃあなんで」
「だからさ」
 ちょっと困った顔で、もごもご言う。
「南がそういうの苦手だから、だよ」
「はあ?」
「世良のやつ、『南はどんだけ苦心惨憺してチョコを作るんだろうなあー』 って、ものすごくウキウキした口調で話してた。『南が困ってる姿って、もー可愛くってしょうがないよなあー』 とも言ってた。それがもう、はじけるくらいのいい笑顔で、正直言って、不気味なくらいだった。僕、あんなに目をキラキラさせた世良を見たの、はじめてだ」
「…………」
「世良はあんまり甘いもの、好きじゃないしね。この場合重要なのはチョコそのものじゃないんだよ」
「…………」
 つまり。
 世良は南が困ることを判っていて、というより、南が困るところを見たいばっかりに、いつもは欲しがらない手作りチョコをわざわざ要求したと。
 ただ単に、可愛いから、という理由で。
 自分以外の他人が南を困らせると怒るくせに。
「……バカじゃないの」
「うん、本っ当にバカなんだ」
 ぼそっと呟いたあたしに答える藤島の声は、情け容赦なく冷淡だった。
「野間が南を手伝うと、どうやったって、さして苦もなく、それなりにちゃんとしたものが出来ちゃうだろ。南もホッとしながらそれを渡すだろ。そうすると、世良は多分、ガッカリすると思う」
「……。手伝うのやめる」
「そうだね、その方がいいね」
 すっかりバカバカしくなって友人を放り出すことを決めたあたしに、藤島はこっくりと頷いた。
 あたしは、はあー、とため息をついた。

 ……きっと、南が泣きそうになりながら徹夜でもして試行錯誤の果てに作り出した奇っ怪なチョコを見て、世良は心から大喜びするんだろう。
 南をからかい、チョコに大笑いして、さんざんイジメ倒してから、それでも最後のひとかけらまで残さずに、キレイに食べきって、たとえ実際の味はどうあれ、「美味しかった」 と感想を言うんだろう。
 本当に嬉しそうに。

「…………」
 藤島にあげるチョコは、ひとりで作ろう、とあたしは考えた。
 藤島は、食べてくれるかな?


        (おわり)


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お疲れ様です
小話(1)(2)読ませて貰いました!凄く読んでて楽しかったです。世良くんの気持ち
がなんとなく理解できて自分も読んでてニヤニヤしていました笑
こんな自分も藤島くんには冷めた目で見られることでしょうね(^^;
南があげたチョコを爆笑して貰い、最後には愛しそうにチョコを世良くんは食べるんでしょうね。
そして藤島くんも表面上はいつも通りのた淡々とした感じでチョコを貰っているのかなぁとまたも妄想していました笑
彼らもまた幸せなカップルになって欲しいですね。決して世良くんや南のようなカップルとは言いませんが笑
これからも沢山の小説をお書きになってください。たまにですが、こうして感想を書かせてもらいますね!あまりにも読んでいて楽しくてつい何かコメントしたい気持ちになってしまうので(^^;
それではBe mineⅡの完結と小話の更新お疲れ様でしたm(__)mこうして小話やまたこの話の番外編や続編が出てくれたら幸いです。これからも頑張って下さい(^-^)/
ゆや 2013/02/08(Fri)01:54:13 コメントの編集
     
      
妄想万歳ですよ!
こちらでもコメントくださいまして、ありがとうございます! もーそのお言葉だけで、書いてよかったです、ホントに! バレンタインものと言うわりに、ちっとも甘くなくて申し訳ない。イチャついた話とか書いてみたいんですけど、南がどんどん話を脱線させていくような気がしてならないんですよね……。そこは是非、妄想で補完していただけたら(笑)。
野間は最初、「情報通」 という設定があって、だからこそ 「その場面を見てない」 とか言うわりに図書室でのあれこれを細かく把握していたり、青柳の家庭環境について知っていたりしたわけなのですが、その設定が生かしきれずに少々残念です。いずれまた機会がありましたら、そのあたりを書いてみたいような気持ちでいます。お時間がありましたら、またいつでも遊びに来てくださいね! ありがとうございました!
【2013/02/08 19:38】
            
           
  
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